札幌学院大学は「やばい」のか。偏差値35でも道内就職9割を出す文系私大の中身

札幌学院大学を調べると「やばい」「Fラン」という言葉がまず並ぶ。偏差値は35でFラン圏なのは動かない事実だ。
ただ収容定員充足率は94.8%、就職率は9割を超えている。噂の中身と公表された数字のどちらを信じるべきか、就職・沿革・立地まで一次データで一つずつ確かめていく。
この記事の目次
まず、札幌大学とは別の大学である
検索でつまずきやすいのがここだ。北海道には名前のよく似た「札幌大学」があり、札幌学院大学と混同されやすい。両者は運営法人も所在地も別で、札幌学院大学は学校法人札幌学院大学が江別市を本部に運営している。ネット上の評判を読むときは、どちらの大学の話なのかをまず確かめないと、印象がまるごとずれてしまう。以下はすべて札幌学院大学(sgu.ac.jp)の話に絞っている。
偏差値35はFラン圏、それは動かない
ごまかさずに書くと、札幌学院大学の偏差値はおおむね35で、これはFランと呼ばれる水準に入る。学部でばらつきはあり、心理学部は40前後、法学部はBF(ボーダーフリー、合否ラインが引けない状態)に近い区分になっている。数値だけを並べれば「入りやすい大学」であることは否定できない。
ただし偏差値は入口の難易度を表すだけの指標で、大学が空洞かどうかは別の数字を見ないとわからない。そこで確認したいのが、募集定員に対してどれだけ学生が集まっているかを示す収容定員充足率だ。
充足率94.8%が意味すること
札幌学院大学の収容定員充足率は94.8%。定員割れが常態化して経営が傾いている大学では、この数字が7割台や8割を切ることも珍しくない。94.8%は「ほぼ定員どおりに学生が集まっている」水準で、少なくとも人が来ずに枯れていく段階の大学ではない。偏差値が低いこととキャンパスに人がいないことは、しばしば別問題だという例になっている。
「やばい」の中身を分解する
「やばい」という言葉は便利すぎて、中身を見ないと判断材料にならない。実際に流れている噂を類型で分けると、次のようになる。
- 難易度が低い系(誰でも入れる)……偏差値35という事実がもと。これは前述のとおり否定しない。
- 就職できない系……後述するが、就職率9割超の実データと食い違う。イメージ先行の部分が大きい。
- キャンパスや治安の噂系……「広すぎる」「事件があった」といった個別の話。大学全体の質とは切り離して読むべき類の情報だ。
三つを一緒くたにして「やばい大学」とまとめると、実態を取り違える。難易度が低いのは本当、就職が弱いのは誤解、噂系は個別事情、と分けて扱うのが正しい。
就職率は9割超、就職先も現実的
就職の数字は複数の年度・情報源でおおむね一致している。2023年の就職率は91.7%、時期によっては92%台・93%台の公表値もある。ほとんどの学科で9割前後を維持しており、一番低い学科でも88%前後という水準だ。「Fランだから就職できない」という決まり文句とは、実データがはっきり食い違っている。
主な就職先として挙がるのは、北海道セキスイハイム、ソフトバンク、札幌トヨタ自動車、北海道警察など。全国区の難関企業がずらりと並ぶわけではないが、北海道で働くことを前提にすれば十分に現実的な進路だ。地元の企業・自治体・警察に人を送り込めているという点は、道内に根を張った文系私大の強みそのものと言える。
4学部7学科、1946年から続く道内の文系私大
札幌学院大学は現在、心理学部・人文学部・法学部・経済経営学部の4学部7学科で構成される文系総合大学だ。歴史は浅くない。前身は終戦翌年の1946年に開かれた札幌文科専門学院で、1950年に札幌短期大学、1968年に札幌商科大学となり、1984年に現在の札幌学院大学へ改称した。80年近い歩みを持つ大学で、建学の精神は「学の自由」「独創的研鑚」「個性の尊重」とされている。ぽっと出の新設校ではないという点は、評価の前提として押さえておきたい。
江別と新札幌、2キャンパス体制
キャンパスは本部の江別キャンパス(北海道江別市文京台11番地)に加え、2021年に開設された新札幌キャンパス(札幌市厚別区厚別中央1条5丁目1-1)の2拠点体制になっている。新札幌は札幌市中心部からのアクセスがよい立地で、通学のしやすさという面では選択肢が増えている。都心の一等地ではないが、道央圏で通える範囲に落ち着いた学習環境がある、という位置づけだ。
入試と学費をどう見るか
入試は一般選抜のほか、総合型選抜・学校推薦型選抜など複数の方式が用意されており、学力一本ではない入口が広く開いている。偏差値が低めであることは、裏を返せば「入りやすさ」でもある。学費は文系私大の一般的な水準で、国公立と比べれば高いが、私立文系のなかで突出して高いわけではない。北海道内で自宅から通える文系私大という条件で選ぶなら、費用対効果は悪くない選択になり得る。最新の金額は必ず公式の募集要項で確認してほしい。
まとめ
札幌学院大学は、偏差値35でFラン圏という入口の事実と、充足率94.8%・就職率9割超という中身の数字を、両方あわせて見るべき大学だ。難易度が低いのは本当だが、それは「就職できない」「空洞化している」とは別の話で、道内で働くことを前提にすれば十分に機能している。「やばい」という一語で切り捨てる前に、噂の中身とデータを分けて確かめれば、評価はかなり冷静なものになる。
よくある質問
札幌学院大学はFランですか?
偏差値はおおむね35で、これはFランと呼ばれる水準に入ります。ただし収容定員充足率は94.8%で定員はほぼ埋まっており、就職率も9割を超えます。入口の難易度が低いことと、大学として機能しているかどうかは別に見る必要があります。
札幌学院大学は就職できないというのは本当ですか?
誤解です。2023年の就職率は91.7%で、ほとんどの学科が9割前後を維持しています。北海道セキスイハイム、ソフトバンク、札幌トヨタ自動車、北海道警察など、道内で働く前提なら現実的な就職先に人を送り出しています。
札幌大学と札幌学院大学は同じですか?
別の大学です。運営法人も所在地も異なります。札幌学院大学は江別市を本部とする学校法人札幌学院大学が運営しており、名前が似ている札幌大学とは無関係です。評判を読むときは、どちらの大学の話か確認してください。
札幌学院大学にはどんな学部がありますか?
心理学部・人文学部・法学部・経済経営学部の4学部7学科で構成される文系総合大学です。前身は1946年創立の札幌文科専門学院で、1984年に現在の名称になりました。

相川 直樹