埼玉県立大学はやばい?公立の医療系を国試合格率と就職の実データで確かめる

埼玉県立大学と検索すると、やばいという言葉が並びます。公立の医療系という響きから、資格や就職を不安に感じる受験生が多いのだと思います。 ですが当サイトの判定は偏差値46.2で対象外、Fランではありません。学科の中身と国家試験の合格率を、公表データで一つずつ確かめていきます。
この記事の目次
埼玉県立大学が「やばい」と誤解される理由
やばいという検索語は、否定的な意味とは限りません。実際にはどの程度の大学なのか、公立で医療系という組み合わせがつかみにくいために、確認のつもりで打ち込む人が多いのです。埼玉県立大学は1999年(平成11年)に開学した公立大学で、令和6年度に開学25周年を迎えました。歴史の浅さや、総合大学のような知名度がないことも、実力が見えにくい一因になっています。
当サイトの独自指標では偏差値46.2として対象外に分類しており、いわゆるFラン(学力不問で誰でも入れる大学)には該当しません。むしろ河合塾や進研模試ベースの学科別偏差値は52から58の範囲にあり、共通テストの得点率も6割台後半が求められます。誰でも入れる大学ではないという点を、まず押さえておいてください。
公立大学であることの意味(学費・運営・実習の設計)
埼玉県立大学は埼玉県が設立した公立大学法人が運営しています。ここが私立の医療系大学との一番大きな違いです。公立のため授業料は国公立標準額に準じ、同じ資格を目指す私立大学と比べて学費の負担がかなり軽くなります。医療系は在学中の実習費や教材費がかさみがちなので、この差は4年間で無視できない大きさになります。
もう一つの特徴が、附属病院を持たないという設計です。附属病院がない代わりに、学生は埼玉県内のさまざまな病院や福祉施設で実習を行います。一つの附属病院に閉じず、地域の複数の現場を経験できることは、就職後に配属先を選ぶうえでの下地になります。附属病院がないことを弱点と捉える人もいますが、実際には外の現場に数多く出るという方針の裏返しです。
保健医療福祉学部5学科の中身と、目指せる専門職
埼玉県立大学は保健医療福祉学部の1学部体制で、その下に5つの学科が並びます。入学定員は合計395名で、内訳は看護学科130名、理学療法学科40名、作業療法学科40名、社会福祉子ども学科70名(社会福祉学専攻50名、福祉子ども学専攻20名)、健康開発学科115名(健康情報学専攻45名、検査技術科学専攻40名、口腔保健科学専攻30名)です。
それぞれが明確な国家資格や専門職に直結しています。看護学科では看護師に加え、保健師や助産師、一種の養護教諭を目指せます。理学療法学科は理学療法士、作業療法学科は作業療法士で、作業療法学科は世界作業療法士連盟(WFOT)の認定校です。社会福祉子ども学科は社会福祉士や精神保健福祉士、健康開発学科は専攻に応じて臨床検査技師や歯科衛生士などにつながります。学部名の通り、保健と医療と福祉の専門職を育てることに全体が向いています。
国家試験の合格率は全国平均を上回る
医療系でやばいかどうかを判断する一番確実な材料は、国家試験の合格率です。資格が取れなければ専門職として働けないからです。埼玉県立大学が公表した2025年度実施分の合格率を、全国平均と並べて見てみます。
看護師は100.0%(全国94.1%)、保健師は97.4%(全国89.9%)、助産師は100.0%(全国99.8%)。理学療法士は97.5%(全国94.9%)、作業療法士は100.0%(全国96.6%)。社会福祉士は95.0%(全国79.2%)、精神保健福祉士は100.0%(全国89.0%)。健康開発学科では臨床検査技師が100.0%(全国93.3%)、歯科衛生士が96.6%(全国97.2%)でした。歯科衛生士がわずかに全国平均を下回るほかは、いずれも全国平均を上回っています。特に社会福祉士は全国が79.2%のなかで95.0%と、差がはっきり出ています。合格率という一点だけを見ても、やばいという評価は当たりません。
専門職連携教育(IPE)という埼玉県立大学の芯
埼玉県立大学を語るうえで外せないのが、専門職連携教育(IPE、Interprofessional Education)です。これは看護や理学療法、福祉といった異なる学科の学生が混成チームを組み、患者や利用者を中心にした課題解決を一緒に学ぶ仕組みです。医療や福祉の現場は一人の専門職では完結せず、多職種が連携して初めて動きます。その連携を学生のうちから体験させる点が、この大学の芯になっています。
この取り組みは開学以来、全国に先駆けて続けられてきたもので、文部科学省の大学間連携共同教育推進事業に採択され、その成果は日本学術振興会から最高評価(S評価)を受けています。埼玉医科大学や城西大学、日本工業大学と連携し、他大学の学生とも混成チームを組む段階まで発展しています。単科の専門大学でありながら、他職種と協働する力を制度として育てているのは、埼玉県立大学の明確な強みです。
越谷キャンパスの立地と通学環境
キャンパスは埼玉県越谷市にあります。校舎が新しく設備が整っている点は、進学理由として在学生からもよく挙がります。医療系は演習や実技の設備が学びの質を左右するので、施設が充実していることは実利のある評価軸です。
公立大学のため、埼玉県内はもちろん、近隣からの通学圏に入る受験生にとっては、自宅から通いながら国家資格を目指せる選択肢になります。実習も県内の医療機関が中心になるため、生活の拠点を大きく動かさずに専門職への道を進める点は、費用面でも精神面でも負担が軽くなります。
入試の難易度は「やばい」どころか競争が起きている
やばいという言葉には、簡単すぎるのでは、という疑いも含まれます。しかし入試の実倍率を見ると、その逆です。2025年度入試の実倍率は学科や専攻によって1.9倍から4.1倍と幅があり、最も高いのは理学療法学科の4.1倍、次いで検査技術科学専攻の3.8倍でした。看護学科も3.4倍です。
共通テストの得点率も学科により6割台前半から後半が求められ、二次試験では小論文や面接が課されます。学力不問で全入という状態とはほど遠く、資格志向の受験生が集まって競争が起きているのが実態です。倍率という数字は、その大学が受験生からどう評価されているかを映します。埼玉県立大学は避けられている大学ではなく、選ばれている大学です。
就職の実際と、卒業後に立てる道
資格が取れて就職につながるかどうかが、進学の最終的な関心事です。埼玉県立大学は毎年9割以上の就職率を維持しており、キャリアセンターでは国家資格を持つキャリアカウンセラーが相談に応じています。国家試験の合格率が高く、その先の就職も安定しているという流れが、医療系として一貫しています。
就職先は埼玉県内の病院や医療機関、福祉施設、行政などが中心で、実習で通った現場がそのまま進路につながる例も少なくありません。看護師や理学療法士、臨床検査技師といった国家資格は全国で通用する免許なので、県内にとどまらず活躍の幅を広げることもできます。資格と就職の両輪がそろっている点が、やばいという不安を最も具体的に打ち消す材料になります。
よくある質問
埼玉県立大学はFランですか?
いいえ。当サイトの判定では偏差値46.2で対象外に分類しており、Fランには該当しません。河合塾や進研模試ベースの学科別偏差値は52から58で、共通テストでも6割台後半の得点率が必要です。学力不問で入れる大学ではありません。
公立大学だと私立より不利になりますか?
むしろ費用面で有利です。公立のため授業料は国公立標準額に準じ、同じ国家資格を目指す私立の医療系大学より学費の負担が軽くなります。附属病院はありませんが、その分、埼玉県内の複数の病院や施設で実習を行う設計になっています。
国家試験の合格率は本当に高いのですか?
2025年度実施分では、看護師100.0%、作業療法士100.0%、精神保健福祉士100.0%、臨床検査技師100.0%など、多くの資格で全国平均を上回りました。社会福祉士も全国79.2%に対して95.0%と差がはっきり出ています。
専門職連携教育(IPE)とは何ですか?
看護や理学療法、福祉など異なる学科の学生が混成チームを組み、患者や利用者を中心にした課題解決を一緒に学ぶ仕組みです。埼玉県立大学が開学以来、全国に先駆けて続けてきた取り組みで、文部科学省の事業に採択され最高評価を受けています。
キャンパスはどこにありますか?
埼玉県越谷市にあります。校舎が新しく設備が整っている点が在学生からの評価としてよく挙がります。実習も県内の医療機関が中心になるため、県内や近隣から自宅通学で国家資格を目指したい受験生に向いています。

相川 直樹