拓殖大学がやばいと言われる理由と、語学・国際で選ばれ続ける実像

拓殖大学を調べると「やばい」「Fラン」という候補が並びます。ただ数字を見ると偏差値は37.5以上、収容定員充足率は98.5%。
ここでは悪い印象の出どころと、1900年創立の国際・語学の伝統校という実像を、公式データで照らし合わせます。
この記事の目次
「拓殖大学 やばい」で検索候補が埋まる出どころ
拓殖大学の名前を検索窓に入れると「やばい」「Fラン」「恥ずかしい」といった候補が続けて出てきます。これは大学の中身を評価した結果ではなく、偏差値という一つの数字だけが切り取られて広まった副産物です。河合塾の区分では拓殖大学の偏差値はおおむね37.5以上に分布し、東進の集計では国際学部や外国語学部のように50台に届く学部もあります。学部や入試方式で幅があるのに、いちばん低い数字だけが「拓殖大学の実力」として一人歩きしているのが実態です。
そもそもFランという言葉には公的な定義がありません。もともとは大手予備校の難易度表で合格ボーダーが判定できない、つまり選抜が実質機能していない大学を指す俗語でした。拓殖大学は全学部に偏差値が付いており、選抜が成立しています。この一点だけでも、Fランという分類は事実と噛み合いません。当サイトの判定でも拓殖大学は非Fラン(対象外)です。
充足率98.5%が示す「毎年ちゃんと受験されている」という事実
大学のやばさを測るとき、偏差値より正直な指標が収容定員充足率です。これは定員に対して実際に何人在籍しているかの割合で、拓殖大学は98.5%。ほぼ定員どおりに学生が集まっているという数字です。
Fランと揶揄される大学の典型は、定員を満たせず出願すれば通ってしまう状態にあります。拓殖大学はその逆で、毎年きちんと受験され、選抜を経て定員に近い人数が入学しています。98.5%という値は「人気が過熱もしていないが、必要とされ続けている」という中堅私大の健全な姿を示すもので、名前を書けば入るという俗説とは正反対の実態です。偏差値の低い数字だけを見て不安になる前に、この充足率を並べて読むと印象はかなり変わります。
「Fラン」「就職できない」という声を一つずつ照合する
ネット上の否定的な評判は、大きく三つに整理できます。一つ目は偏差値の低さ。前述のとおり最低ラインでも37.5以上あり、共通テスト利用や一般入試など複数方式で選抜されているため、Fランの定義には当てはまりません。
二つ目は知名度。拓殖大学はしばしば大東亜帝国という大学群と横並びで語られ、そのくくりの中で低めに見られがちです。ただこれは同水準の大学が多いという話であって、拓殖大学だけが極端に劣るという根拠にはなりません。
三つ目が「就職できない」。これは公式の就職データを見れば事実と食い違います。外国語学部や国際学部の就職実績には、全日本空輸や日本通運、星野リゾート、三菱商事ロジスティクス、スズキ、TOTOといった企業名が並びます。誰もが知る超大手ばかりではありませんが、語学や国際分野を軸に堅実な就職先を確保できているのが読み取れます。「就職できない」ではなく「どの層の企業に強いかが分野で決まる」というのが正確な理解です。
1900年創立、国際と語学で育ってきた大学という実像
偏差値のイメージと最も大きくずれているのが、この大学の成り立ちです。拓殖大学の前身は1900年(明治33年)に設立された台湾協会学校で、海外で活躍する人材を育てることを目的に生まれました。初代校長は桂太郎、そして『武士道』で知られ「太平洋の橋とならん」と語った新渡戸稲造が第2代学監、関東大震災後の帝都復興を主導した後藤新平が1919年に第3代学長として発展の礎を築いています。
この出自がそのまま今の強みになっています。国際交流や語学教育に早くから力を入れてきた伝統があり、外国語学部では英米語・中国語・スペイン語・国際日本語といった学科で、卒業時に中学・高校の教員免許取得も可能です。偏差値37.5という数字だけを見て抱く印象と、120年以上にわたって国際・語学の人材を送り出してきた実像とのあいだには、かなりの距離があります。
五つの学部で何を学べるのか
拓殖大学には商学部・政経学部・外国語学部・国際学部・工学部の五つの学部があります。看板といえるのは、成り立ちに直結する外国語学部と国際学部です。実践的な語学力に加え、国際協力や地域研究など、海外を舞台に働くことを想定したカリキュラムが組まれています。
一方で商学部や政経学部はビジネス・経済・法律・政治といった王道の社会科学を扱い、工学部は理系分野をカバーします。文系のイメージが強い大学ですが、実際には文理そろった総合大学です。自分が語学・国際で伸ばしたいのか、商学・政経で実務力を付けたいのか、工学で技術を学びたいのかで、同じ拓殖大学でも得られるものはまったく変わってきます。
二つのキャンパスと入試方式
キャンパスは都内に二つあります。文京キャンパス(東京都文京区)には商学部と政経学部、八王子国際キャンパス(東京都八王子市)には外国語学部・工学部・国際学部が置かれています。都心で学べる学部と、緑の多い八王子で学べる学部に分かれているため、志望学部によって通学環境が大きく違う点は事前に確認しておきたいところです。
入試は一般選抜のほか、共通テスト利用や学校推薦、総合型選抜など複数の方式が用意されています。学部・方式ごとに難易度に幅があるので、偏差値表の一番低い数字だけで判断せず、自分が受ける学部と方式の条件を個別に見ることが大切です。複数方式があること自体が、選抜がきちんと機能している証でもあります。
学費の目安と、判断の落としどころ
学費は学部系統によって差があり、文系学部より工学部など理系のほうが高くなる私立大学の一般的な傾向に沿っています。正確な金額は年度で改定されるため、進学を具体的に検討する段階では必ず大学公式サイトの最新の学費一覧で確認してください。
総じて、拓殖大学は「やばい」「Fラン」という検索候補の印象とは異なり、偏差値37.5以上・充足率98.5%で当サイトの判定は対象外です。1900年創立で国際・語学に強い伝統校という実像を踏まえれば、悪印象の多くは数字の切り取りから生まれた誤解だとわかります。大切なのはFランかどうかのラベルではなく、その学部で何を学び、卒業後にどう活かすかです。
よくある質問
拓殖大学はFランですか?
いいえ。Fランは選抜が実質機能していない大学を指す俗語ですが、拓殖大学は全学部に偏差値(河合塾区分で37.5以上)が付き、一般選抜や共通テスト利用など複数方式で選抜されています。当サイトの判定でも非Fラン(対象外)です。
拓殖大学の充足率はどのくらいですか?
収容定員充足率は98.5%で、ほぼ定員どおりに学生が集まっています。定員割れで誰でも入るという状態とは逆で、毎年きちんと受験され選抜されている大学だといえます。
拓殖大学は就職できないというのは本当ですか?
事実とは異なります。外国語学部・国際学部の公式就職実績には全日本空輸や日本通運、星野リゾート、三菱商事ロジスティクス、スズキなどが並び、語学・国際分野を軸に堅実な就職先を確保しています。
拓殖大学はどんな大学ですか?
1900年設立の台湾協会学校を前身とし、新渡戸稲造や後藤新平が要職を務めた、国際・語学に強い伝統校です。商・政経・外国語・国際・工の五学部を持つ文理そろった総合大学で、キャンパスは文京と八王子国際の二つです。

相川 直樹